その時僕は真夜中のデトロイトの空港で嵐のため立ち往生していた。
 異国でこれは心細かった。
バスも運休、タクシーもつかまらずおまけにいつの間にか空港が閉鎖してしまったのであった。
 その時嵐の中をパトロール中の警官が僕を見つけ声をかけてきた。
「キミは日本人?」
 僕がそうだと言うと少し懐かしそうに「僕は横須賀に住んでいたんだよ」と言ってきた。
僕が「この嵐で空港から出れない」と言うと、「それならうちに来ればいい」誘ってくれた。
 僕はおそるおそるパトカーに乗った。 
彼の家には数十分で着いた。
彼の奥さんと子供が僕を出迎えてくれた。
こちらまで温くなりそうないい雰囲気の家庭であった。
 しばらくすると警官の主人も帰って来て一緒に夕飯をご馳走になった。
 手料理は大変うまかった。その夜は飛行機疲れもあってすぐに横になってしまった。 
嵐は去り夜は明けた。
僕はこの家族に何かお礼がしたいと思い、ここの住所を聞いた。
日本に帰ったら何かプレゼントを送ろうと思ったからだ。
 するとその警官は、「僕にお礼はいらない、でももしマサが困っている人を見たら同じように親切にしてあげたらそれでいい。」と言った。
 そうか、そうやって親切や優しさのリレーが出来れば世界中は愛で溢れる。 
僕はこの経験でアメリカ人のいいところを見つけた。
そして憧れた。この大陸を流れる優しさに。
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日々漂流者のDiscovery Japan
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